マッカーサーの二千日 (中公文庫)



マッカーサーの二千日 (中公文庫)
マッカーサーの二千日 (中公文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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「オレンジプラン」への挑戦

フィリピンを「第二の故郷」とまでいう経歴や、ケソンとのパイプ、トルーマンとの確執、
ある種傲慢ともみえる人となり、といったマッカーサ伝記に留まらない。
対日戦以前のマッカーサのテーマを、米国の対日戦略「オレンジ・プラン」(日本を太平
洋における仮想敵国と位置づけた米国戦略案。日本の南進拡大にあたっては、フィリピン
防衛は困難となるというのがその基調)への挑戦と位置づけている。このプランは日露戦
争に既に検討を開始、米国の戦略構築の周到さに驚かされる。
「占領」をどう評価するかを主テーマにすえた、優れた太平洋戦争入門書となっている。
巻末に文献案内と索引もあり便利である。
鶴見俊輔との関係からか?中韓=被害者、日本=侵略者という基本的トーンはあるも、
それは「あとがき」に伺われる程度で、内容はきわめて抑制の利いた記述である。
東京裁判や山下・本間裁判の理不尽さを冷静に批判している点も信頼がおける。
「占領史」の中の一例としてみた場合、日本でのそれは極めて成功といえる、というのが
著者の評価である。
現代日本の基礎がこの時期につくられた

 2004年改版。初版は1974年。著者新世紀版へのあと書きにあるように、「…日本を占領したマッカーサー元帥とその時代を簡潔にまとめた本が、いまでも日本語ではこれしかない…」というのはいくらかさびしい。なぜなら、現在の日本のありようの多くが、この時期に具体化したからだ。

 それは、日本国憲法、自民党につながる政治、財閥解体、農地改革、天皇の人間宣言、自衛隊の前身警察予備隊、公務員のスト権剥奪、共産主義の排除などだ。

 これらについて、本書は整理した形でのイメージを与えてくれる。これまで以上に日本人が国際社会と関わっていく新たな時代が始まっているようだが、国際関係に対するはっきりとした見識を持つためには、自分たちの社会の構造を知る必要があり、その意味で本書の示すものは貴重だ。



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